About Washington


AVA 地図(PDF)

ワシントンのワイン業界概要 (2020年現在)

  • ワイン用ぶどう栽培地域面積: 60,000 エーカー(約25,000 ヘクタール)
  • ぶどう栽培者数: 400+
  • ワイナリー数: 1,000+
  • ワイン生産量: 1,770万ケース
  • AVA数: 16


ワシントンのワイン産地・歴史

ワシントン州のワイン生産量はカリフォルニアに次ぎ、全米で第2位となり、プレミアムワインの生産地として知られています。生産地域は北緯46度から48度に分布し、夏の日照時間はカリフォルニアより1時間程長い平均約16時間です。カスケード山脈が気候に影響を与える大きな要因となっており、山脈より西側は雨が多く、東側は乾燥した内陸性気候となります。

約1万5千年前に繰り返し起こったミズーラ大洪水によって、膨大な氷河の水や土砂が襲い、堆積した地層がコロンビア河流域の土壌を構成しています。
ワイナリー総数は1,000軒以上あり、ぶどう栽培軒数は400軒以上、栽培面積は25万ヘクタール以上あります。総生産量は2016年に1,600万ケースありました。
ワシントン州には現在、合計16のA.V.A.  (American  Viticultural Areas) があります。

山脈の東側に位置する広大なコロンビア・ヴァレーA.V.A.は1984年に認定され、ヤキマ・ヴァレー、ワラ・ワラ・ヴァレー、レッド・マウンテン、ホース・ヘヴン・ヒルズ、ワールーク・スロープ、ラットルスネーク・ヒルズ、スナイプス・マウンテン、レイク・シェラン、ナチェス・ハイツ、エンシェント・レイクスなどの11のA.V.A.を内包し年間雨量も非常に少ない内陸性気候でとなります。この地域はボルドー系や、ローヌ系品種を始めとする40種類以上の品種を栽培しており、主な赤品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、カベルネ・フラン、マルベック、サンジョベーゼ等で、白品種はリースリング、シャルドネ、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミネール等です。

夏の日中は30℃を超えますが、夜は急激に気温が下がり昼夜の温度差(約17℃)と長い日照(夏季平均16時間)はぶどう栽培に適しています。冬はマイナス20℃を下回るため、フィロキセラは生息することができず、台木は使わずに自根で栽培しています。年間平均雨量は200mm程ですので、灌漑は不可欠です。
ヤキマ・ヴァレーがワシントン州で初めに認定されたA.V.A.(1983年認定)で、ラットルスネーク・ヒルズ、スナイプス・マウンテン、レッド・マウンテンA.V.A.がその中に位置していますが、ヤキマ・ヴァレーはコロンビア・ヴァレーに含まれています。

コロンビア・ヴァレーに含まれていないA.V.A.は、コロンビア・ゴージュ、ピュージェット・サウンド、ルイス・クラーク・ヴァレーです。コロンビア・ゴージは、2004年に設立されたA.V.A.でオレゴン州とワシントン州を隔てるコロンビア河沿いに位置しています。オレゴンとワシントン両州にまたがり、オレゴン州ポートランドから東へ97kmの位置にあります。東西64kmにわたる地区の西側は海からの影響が及ぶため比較的冷涼ですが、東に行くにつれて、温暖で乾燥した大陸性気候に変わってきます。西部は年間降水量1,000mmという海の影響を受けた涼しい気候で、ピノ・ノワール、ゲヴュルツトラミネール、シャルドネ、ピノ・グリ、リースリングといった品種の栽培に適しています。東部のブドウ畑は大陸の砂漠気候で、年間降水量は200mmですが、ボルドー、ローヌ、イタリアなどの暑い気候に適した品種のブドウが熟す十分な日照があり、カベルネ・ソーヴィニョン、シラー、ジンファンデル、バルベーラなどの栽培に適しています。土壌は西から東へと劇的に変わり、古い火山の泥岩から成る赤い土から玄武岩の破片が見えるグレーの土壌へと変わり、標高は海面に近いところから標高2,000メートルまで多様です。

ピュージェット・サウンドは1995年に設立され、気候は穏やかで、夏は長く穏やかで、ほとんど雨が降りません。土壌は半透性堆積岩の下層土で深く伸びたブドウの根は夏の終わりの水不足をしのぎます。年間平均降水量は1,200mmで、主に冬の休眠期に降り、生育期間は180日以上です。主な品種はマデレーヌ・アンジョヴィヌ、シーガレーベ、ミュラートゥルガウ等ですが、ピノ・グリやピノ・ノワールもこの産地で栽培されています。ルイス・クラーク・ヴァレーは、ワシントン・アイダホの両州にまたがっている2016年に制定された新しいA.V.A.です。

『バナナベルト』という呼び名の通り、寒冷な周辺地域とは異なり、温暖なエリアですが、深く切れ込んだV字の谷では夜間、空気が循環し気温が下がるため、昼夜の温度差によりブドウに酸味と風味を与えます。年間降水量は280~550mm、土壌は主に、植物や植物の根などが分解された高い水分保持力が可能なモリソル土壌で、黄土や、栄養豊富なシルトも混ざっています。主な栽培品種は、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、リースリング等です。